会長挨拶・前会長挨拶
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若江健雄会長挨拶(2025年6月就任)
新年あけましておめでとうございます。
2026年は「法律扶助支援法」に基づき日本司法支援センター(法テラス)が業務を開始して20年目を迎える年です。我が国の戦後の民事法律扶助は事業は、1952年に日弁連により設立された「法律扶助協会」に始まり、2000年に制定された「民事法律扶助法」を経て現在に至っています。
国民の司法アクセス権は弁護士のボランティアから法制度による保障へと変化しました。法テラスが開業してから20年となり、この間の業務の中で国民の司法アクセス権が十分保障される運用がなされてきたか、援助を支えるべく法曹は今後も確保することが可能となるのか、民事法律扶助に対する国の予算は充実されてきたか等々の4観点からこれまでの法テラス事業を改めて検証すべき時期が来ていると思われます。日弁連においても諸観点から検討され、また諸外国の民事法律扶助制度の研究者や法曹関係者との交流もなされておりますが、当協会においてもその一翼を担う活動ができればと考えます。
一方で、訴訟手続きもコンピューターの使用が前提とされ、AIを使用すれば自らが民事訴訟へのアクセスも可能となる時代に向かっており、国民の司法アクセス権の保障方法やその支援の仕方についても変化が出てくるのではないかと考えられます。
これからも民事法律扶助制度は国民の法の下の平等や裁判を受ける権利を実質的に保障するために必要不可欠なものですが、時代によりこれを実現する制度やその運営にも変化が生じてくるものと考えられます。当協会も国民の司法アクセスへの保障が今後どうあるべきかを究明していきたいと思います。
注 若江健雄弁護士は、亀井時子会長の後任として、2025年6月から司法アクセス推進協会の会長に就任されました。
亀井時子前会長挨拶(2020年12月就任)
すべての人にアクセス可能な司法制度を目指して
この度、一木剛太郎会長の後任として、2020年12月に会長に就任いたしました。よろしくお願いいたします。
一木会長は、初代の故小堀樹会長、二代目の丹羽健介会長に続き、2018年9月に会長に就任されましたが、2020年9月11日、病気のため逝去されました。ご冥福をお祈り申し上げます。
一木会長は、法律扶助協会時代から法律扶助の事業にかかわり、世界の法律扶助制度の視察・研究を行い、論文を執筆されて、わが国の法律扶助の基本法制定のためにご活躍されました。
英語に堪能な一木会長は、オーストラリア・タイの視察(1994年)をはじめ、マレーシアにおける国際シンポジウム(1995年)、タイ・バンコクでの国際会議(1998年)にも参加され、当時の法律扶助先進国のイギリス、オランダなどの制度や東南アジア諸国の制度を紹介されて、法律扶助法(2000年)、その後の総合法律支援法(2004年)などの制定に大きな寄与をされてきました。
法テラスの設立(2006年)後は、本部の初代事務局長として、また東京地方事務所長として、初期の困難な時期に法テラスの事業の充実及び周知のために献身的な活動をされてきました。
当協会の会長就任後も、司法アクセスの充実のために、グローバルアクセス・プロジェクトへの参加などの研究活動、論文執筆などに精力をつぎ込んでこられました。
当協会は、わが国における司法アクセスの充実をはかり、社会的に弱い立場にある人々が、平等に、かつ容易に司法にアクセスし、法的救済を受けられる制度を構築することを目的としており、そのための研究活動、出版活動をしてきました。
法テラス設立以降すでに15年以上が経過し、法テラス関係者や日本弁護士連合会、法律扶助制度の充実について、の献身的な努力により、法テラスの活動は、国民にかなり周知されてきました。近年では、認知機能の不十分な高齢者などに対する特定援助対象者法律相談援助、DV・ストーカー・児童虐待の被害者に対する無料法律相談援助などが開始され、法テラスの業務も多様化しつつあります。
2020年はじめから蔓延してきたコロナウィルスは長期化し、収束の見通しどころか、いまだに拡大の傾向が見えています。法テラスの無料法律相談は、多重債務、労働問題、外国人の問題、離婚など増加傾向にあり、急遽業務方法書を改正して、2020年5月から電話による法律相談を行うことになり、期間限定とはいえ、法テラスにもアクセスしやすくなりました。ところが、電話を有しない市民が、遠方から徒歩で、法テラスに駆け付けるケースもあり、市民の、法的救済の対応は、さらに充実させていかなければと痛感します。Zoomなど、オンラインの対応も可能ですが、市民の側には、その対応力がないことまで配慮して、法テラスの制度の制度の充実を図らなければなりません。
当会の役割は、世界的視野のもとに法律扶助をはじめとする司法アクセスを発展させていくことにあり、法テラスの制度には今後も注目しながら活動していく所存です。
会員、関係者の皆様と共に、わが国の司法アクセスの発展に寄与していきたいと考えております。ご協力をお願いいたします。
注 亀井時子弁護士は、長く日本の法律扶助の拡充に傾注され、特に2020年12月から2025年6月まては司法アクセス推進協会の会長を務められましたが、同月の定期総会をもって病気治療のため会長を退任されました。
なお、後任の若江健雄弁護士の会長就任挨拶は、司法アクセスレビュー第47号に掲載されています。